不登校のきっかけ1位は「先生との関係」一因に教員の過重業務か 「支出増えた」家庭は94.9%

2024年1月11日 20時35分
 不登校のきっかけで最も多かったのは「先生との関係」ー。そんな調査結果をNPO法人が11日に発表した。過重業務で教員に余裕がないことなどが背景にあるとみられる。
 調査は、学校以外の居場所作りに取り組む「多様な学びプロジェクト」(川崎市高津区)が2023年10月から12月末、全国の不登校当事者や経験者、保護者らを対象に、インターネット上で実施。約2800人から回答を得た。

◆かつてはいじめなど「友達との関係」が最多

 学校に行きづらいと思い始めたきっかけを当事者に尋ねたところ、「先生との関係」が36%で最多。「勉強はわかるけど授業が合わない」(35%)「学校システムの問題」(28%)が続いた。かつて不登校だった30~50代の人に対する同じ質問では、いじめなどの「友達との関係」が最多で、同法人の生駒知里代表理事は「近年、不登校のきっかけに変化が起きている可能性がある」と指摘する。

不登校の調査を基に学校のあり方などを話し合う教育関係者ら=東京都港区で

 保護者への質問では、不登校に伴ってフリースクールなどを利用した結果、94.9%が「支出が増えた」と回答。休職や転職など働き方を調整した人も7割以上に上り、「世帯年収が減った」と答えた人も4割近くいた。
 同法人は11日、オンラインでシンポジウムを開き、教育関係者らが調査結果について話し合った。「先生との関係」が理由の1位だったことについて、小学校教諭の松下隼司さんは「教師になってから一度も45分の休憩を取ったことがない。残業や持ち帰り仕事もある」と明かし、余裕がない学校現場の実情を訴えた。文部科学省の大野照子生徒指導室課長補佐は「先生の創意工夫のある授業ができる環境をつくることが大切。働き方改革を進める」とした。

◆不登校児童生徒は10年連続増加で約30万人

 保護者の鈴村結さんは「経済的負担を公的に支援してくれれば、国や自治体が応援してくれていると感じられる」と行政の積極的な支援を求めた。
 文科省が発表した2022年度「児童生徒の問題行動・不登校調査」では、不登校の児童生徒は29万9048人で、10年連続の増加で過去最多を更新した。(竹谷直子)
【2024年1月20日追記】今回の調査を実施した「多様な学びプロジェクト」は、不登校に伴ってフリースクールなどを利用した結果「支出が増えた」と回答した保護者の割合を当初99.5%だったとしていましたが、正しくは94.9%だったと調査結果を訂正しました。これを受けて、本文と見出しを修正しました。

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